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ロキソニンには重大な副作用があるから危険?!薬剤師が安全性を検証!

「ロキソニンに重大な副作用として“腸閉塞”が追加された」

飲んだことがないという方のほうが少ないであろう、国民薬とも言えるロキソニンに、2016年3月22日、重大な副作用である腸閉塞が追加されました。このニュースは広く知れわたりロキソニンは危ない、副作用があるから飲まない方が良いという認識を多くの方にもたらしたことは記憶に新しいでしょう。

しかし、本当にロキソニンは危険なのでしょうか。

副作用があるから飲まない方が良いというのは正しい意見なのでしょうか。

ドラッグストアでロキソニンを毎日30個近く売り続けた経験を持つ、ロキソニン販売のプロである薬剤師の私が今回は「ロキソニンの副作用」について詳しく解説していきます。

ロキソニンの副作用に「腸閉塞」が追加

ロキソニンはとても良くできた鎮痛剤で、鎮痛効果が高くて効果が表れるのも速く、キレの良いお薬。それゆえ、非常に多くの方が服用しています。そんなロキソニンにpmdaからある日突然、このような通達がされたのです。

【医薬品名】一般用医薬品
ロキソプロフェンナトリウム水和物含有製剤(経口剤)

 

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[相談すること]の項を

「服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ち
に服用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
服用後、消化性潰瘍、むくみがあらわれた場合
また、まれに消化管出血(血を吐く、吐き気・嘔吐、腹痛、黒いタ
ール状の便、血便等があらわれる)、消化管穿孔(消化管に穴があく
こと。吐き気・嘔吐、激しい腹痛等があらわれる)、小腸・大腸の狭
窄・閉塞(吐き気・嘔吐、腹痛、腹部膨満等があらわれる)
の重篤
な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受ける
こと。」

と改める。

pmda独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

こんな長文で、しかもわざわざ太文字で「小腸・大腸の狭窄・閉塞(吐き気・嘔吐、腹痛、腹部膨満等があらわれる)」と書かれているのです。これを見た方が不安に思わない訳がありません。小腸や大腸が狭窄するというのはいわゆる腸閉塞のことを指しています。

腸閉塞は激しい腹痛、吐き気や嘔吐を伴う疾患。「ロキソニンを飲んだら腸閉塞になってしまう」と、この通達を機に多くの方がロキソニンを危ないお薬として認識してしまいました。

ロキソニンは危ない、重大な副作用があるお薬なんて飲めない。

腸閉塞になるくらいなら飲まない方がマシ。

果たして、本当にロキソニンは危ないお薬なのでしょうか?

ロキソニンで腸閉塞が起こる確率はわずか1/3000万

結論から言ってしまえば、ロキソニンは危ないお薬ではありません。

腸閉塞になるならロキソニンを飲みたくない、そう思っている方はまず、ロキソニンを飲んで腸閉塞になる確率を知っておくべきです。

厚生労働省によると、ロキソニンが処方されている方の人数は、年間でおよそ4500万人から4900万人。このうち、過去3年間で腸閉塞が起きたのは6人。さらに細かく言うと、この6人のうち、ロキソニン服用との因果関係が否定できないのは5人。

つまり5/4900万×3=約1/3000万人の確率で腸閉塞になるおそれがあることが、上の数字から分かります。パーセント表記に直すとわずか0.000003%しかありません。

この確率がどれだけ低いかというと、年末ジャンボで1等賞が当たるよりも低い確率なんです

もしもあなたが、年末ジャンボの1等賞に何度も当選した経験のある億万長者であれば話は別。ですが、多くの方は日常生活でロキソニンを使う上で腸閉塞を気にする必要はほとんどないのです。

ロキソニンで起こりうるその他の副作用

お薬には副作用が付き物。クスリはリスクと言うこともあるように、ロキソニンに限らずすべてのお薬には必ず副作用があります。では、ロキソニンには重大な副作用として追加された腸閉塞以外に、どのような副作用があるのでしょうか。

添付文書に掲載されている重大な副作用以外のものを見てみましょう。

・過敏症(発疹) 0.1~1%未満
・過敏症(そう痒感) 0.05~0.1%未満
・過敏症(蕁麻疹) 0.05%未満
・過敏症(発熱) 頻度不明
・消化器(腹痛、胃部不快感、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢) 0.1~1%未満
・消化器(消化性潰瘍)、便秘、胸やけ、口内炎) 0.05~0.1%未満
・消化器(消化不良) 0.05%未満
・消化器(口渇、腹部膨満、小腸・大腸の潰瘍) 頻度不明
・循環器(動悸) 0.05%未満
・循環器(血圧上昇) 頻度不明
・精神神経系(眠気) 0.1~1%未満
・精神神経系(頭痛) 0.05%未満
・精神神経系(しびれ、めまい) 頻度不明
・血液(貧血、白血球減少、好酸球増多) 0.05%未満
・血液(血小板減少) 頻度不明
・肝臓(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇) 0.1~1%未満
・肝臓(ALP上昇) 0.05%未満
・泌尿器(血尿、蛋白尿、排尿困難、尿量減少) 頻度不明
・その他(浮腫) 0.1~1%未満
・その他(顔面熱感) 0.05%未満
・その他(胸痛、倦怠感、発汗) 頻度不明

これを見てどう思いましたか?

こんなに副作用っていっぱいあるの?!と顔を青くしてしまった方が多いのではないでしょうか。でも、安心してください。世の中に流通しているほとんどのお薬の添付文書に、これくらいの量の副作用は平気で書かれています。

あなたがいつも病院で貰っているお薬にも、普段ドラッグストアで買っているお薬にも副作用は必ずあるんです。

すべてのお薬は副作用を持っています。ロキソニンに腸閉塞という重大な副作用が追加されたことで、ロキソニンが危ないお薬のようなイメージが広がってしまいましたが、副作用が起こるかもしれないお薬はロキソニンだけではないのです。

他のお薬の副作用も気になるのであれば、ネットで添付文書を探してみてください。どれもすごい量の副作用が書いてあるはずです。

ロキソニンを飲むとなぜ胃腸に負担がかかる?

薬局でロキソニンを貰うときも、ドラッグストアでロキソニンを買うときも、必ず薬剤師からこのようなことを伝えられます。

  • 空腹時は避けて食後に飲んでください。
  • 続けて飲む際は必ず4時間以上は空けて飲んでください。
  • どうしても食事が難しいときは多めの水で服用してください。

これって、なぜ言われるかご存じですか?答えは胃の負担を避けるためです。ロキソニンが胃に負担のかかりやすいお薬だというのはご存知の方が多いでしょう。ロキソニンを空腹時に飲んでしまうと胃の負担が大きくなるので、このような説明を行っています。

ロキソニンが胃に負担をかけやすい理由

ロキソニンをはじめ、ほとんどすべての解熱鎮痛剤は胃に負担のかかりやすいお薬です。なぜ、胃に負担がかかってしまうのか、簡単にご説明しておきます。

ロキソニンを飲むと痛みが止まるのは、痛みのもととなる成分のプロスタグランジンの生成を抑制するため。プロスタグランジンは、アラキドン酸からCOXによって作られます。

このCOXという酵素、実はCOX-1とCOX-2という2つの種類があります。

  • COX-1:胃を守る働きをしている
  • COX-2:炎症に関わっている

ロキソニンが炎症に関わっているCOX-2のみを阻害できれば良いのですが、残念ながら胃を守る働きをしているCOX-1まで一緒に阻害してしまいます。その結果、胃に負担がかかってしまうという訳です。

ロキソニンが、痛みを抑えると同時に、胃を守っている物質の働きを抑えてしまうため、胃に負担がかかりやすくなる。

胃に負担がかかりやすいために、ロキソニンと一緒にレバミピドやムコスタのような胃薬が処方されることがあるのです。

ロキソニンを安全に使うために必要なこと

しかしながら、ロキソニンはきちんと使い方を守れば怖いお薬ではありません。

  1. 用法用量を守る
  2. 漫然と服用しない
  3. 症状が長引く場合は医療機関を受診

以上の3点を守って使用します。

用法用量を守る

基礎的なことではありますが、必ず用法用量を守って服用します。誤った使い方をして副作用が生じたとしても、国は面倒を見てくれません。副作用被害救済制度というものがあるのですが、これは正しい使い方をした方のみが対象になる制度。

極力、副作用を起こさないためにも、自分の身を守るためにも間違った服用は避けましょう。

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する

添付文書には、このような用法用量が記載されています。疾患によってはこれ以外の使い方をする場合がありますが、ほとんどは上の使い方です。中でも1回60mgというのが基本の投与量。

1回60mg(=1錠)を1日に3回まで、できるだけ食後に服用というのを覚えておきましょう。もちろん、別途、医師から指示がある場合はそれに従います。

漫然と使用しない

ロキソニンを飲んだら痛みが止まるから…といって漫然と長期間にわたって服用をするのは避けましょう。

  • 何か疾患があるのに見逃してしまう可能性がある
  • 長期の服用によって胃腸に負担をかけてしまう

漫然とした服用によって、上のようなことを引き起こしてしまうおそれがあります。長期にわたってロキソニンを使用しなければならない状況というのは、そもそもが異常なことです。原因を特定し、きちんと治療していくためにも3~5日ほど服用しても症状が治まらない場合は医療機関を受診しましょう。

また、長期の服用によって胃に大きな負担をかけてしまいます。私が過去に見た患者さんの中には、ロキソニンを長期服用することによって胃潰瘍になってしまった方がおられました。このように、何となく胃がムカムカするでは済まないこともありますので先ほども言いましたが服用は3~5日に抑えます。

症状が長引く場合は医療機関を受診

先ほどの内容と少しかぶりますが、ロキソニンを飲まないと体調が悪い、という状態はすでに普通ではありません。一時的に頭痛がするとか生理痛で飲むとかではなく「飲まないと体調が悪いから飲む」状態は非常に危険です。

症状が長引く場合は必ず医療機関を受診してください。原因を探って根本的な治療を進めることで症状が現れないようにすることが先決です。

どうしてもロキソニンの副作用が気になる場合は?

  • ロキソニン以外にも副作用がいろいろとあるのは分かった
  • 正しい飲み方を守ることで安全に使えることも分かった

それでもロキソニンを飲むのは不安、という方もいるでしょう。そのような方はアセトアミノフェンの入ったお薬を選ぶと良いでしょう。解熱鎮痛剤の中で最も体に負担の少ないお薬です。病院で貰えるものだとカロナールがアセトアミノフェンが入ったお薬に該当します。

市販だと、いくつかありますがタイレノール小児用バファリンなどがアセトアミノフェン単剤のお薬です。アセトアミノフェンはCOXに影響せずに痛みを止めると言われているため、胃の負担が非常に少ないのです。

 

まとめ:副作用があるのはロキソニンだけではない

腸閉塞という重大な副作用が追加されたことで、ロキソニンは危ないものだと思ってしまった方がいたのは紛れもない事実。しかし、腸閉塞が起こる可能性は1/3000万と非常に少ない数字。宝くじで何億円か当てるよりも低い確率なので、副作用が起こるからとロキソニンを避ける必要はないでしょう。

また、副作用があるのはロキソニンだけではないということを忘れてはいけません。どんなお薬にも副作用は付き物。正しい飲み方をすることで副作用のリスクを減らせますので、お薬は必ず指示通りに飲むこと、そして症状が長引く際は医療機関を早めに受診することが大切です。

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