市販薬・健康

【薬剤師解説】市販で人気のニキビ治療薬10選【塗り薬編】

「顔中にニキビができて人目が気になる」
「ニキビ用の市販薬を買いたいけど、種類が多くて選べない」

このようなお悩みをおもちではありませんか?何をやってもニキビが治らない日々が続くと、人前に出るのも嫌になってしまいますよね。

ニキビは皮膚科での治療がおすすめですが、市販薬で対処できる場合もあります。今回はニキビにおすすめの市販薬を見ていきましょう。

岡本
岡本
ドラッグストアで勤務経験のある私が、人気の製品を紹介します!

ニキビができる原因

ニキビができる原因は、思春期ニキビと大人ニキビとで少し異なります。まずは自分のニキビがどちらなのかを知っておくことが大切です。

思春期ニキビの原因

思春期ニキビとは、10代でよく見られるニキビのこと。皮脂の分泌が過剰になることで起こります。ニキビの元となるアクネ菌は、皮脂をエサに繁殖するため、ニキビができやすくなるのです。

20代になり皮脂の分泌量が落ち着いてくればニキビも次第に改善していきますが、数年にわたってニキビができやすい状態が続きます。

アクネ菌とは

アクネ菌は、皮脂を分解して炎症物質を作り出す菌です。ニキビの原因になる常在菌として知られていますが、お肌を弱酸性に保つ働きがあることもわかっています。

大人ニキビの原因

思春期をすぎてから出るニキビを、大人ニキビと呼んでいます。いわゆる吹き出物です。大人ニキビは皮脂分泌が増えることではなく、寝不足やストレス、ホルモンバランスなどが原因になります。

20代になってからニキビに悩まされている方は、大人ニキビを疑いましょう。あごや首、デコルテなどにできやすいことが特徴です。

ニキビは遺伝の影響も関係している

なかなか治らないニキビを毎日見ていると、「自分の生活習慣が悪いのでは?」「しっかり顔を洗っていないのが原因かな」と思い詰めてしまうかもしれません。

しかしニキビの原因は、なにも日々の生活習慣だけではありません。実は、ニキビの原因は約80%が遺伝によるものなのです。つまりニキビができやすいかどうかは、体質によるところが大きいと考えられます。

ニキビが治らないことを自分のせいにして責めすぎないようにしましょう。

参考:Heritability and GWAS Analyses of Acne in Australian Adolescent Twins

病院で使われているニキビ治療薬

ニキビが気になって皮膚科に行くこともありますよね。皮膚科では、次の治療薬を使うことが一般的です。

まりも
まりも
皮膚科でのニキビ治療の中心となっているディフェリンゲルやベピオゲルは、残念ながら市販薬での取り扱いがありません。ニキビ治療は毛穴の詰まりを改善することが大事なので、長い期間ニキビに悩まされている方は皮膚科の受診をおすすめします。

ディフェリンゲル

画像参考:ディフェリンゲル0.1% 製品画像一覧 | マルホ 医療関係者向けサイト

主成分はアダパレンです。ビタミンAと似たような働きをします。毛穴のつまりを解消したり、余計な角質を剥離させたりすることで、ニキビの悪化を防ぐお薬です。

ダラシンTゲル

画像参考:QLif

主成分はクリンダマイシンです。アクネ菌を殺菌する働きをもちます。

ベピオゲル

画像参考:ベピオゲル2.5% 製品画像一覧 | マルホ 医療関係者向けサイト

主成分は過酸化ベンゾイルです。毛穴の詰まりを改善することで、ニキビを治療します。殺菌効果があることも特徴です。

ニキビ用の市販薬の選び方

ニキビ用の市販薬は驚くほど種類が多いため、ドラッグストアに行ってもどれを選ぶべきがわからない方が多いでしょう。

そこでここでは、ニキビ用の市販薬を選ぶポイントを紹介します。

白ニキビにお悩みの方

白ニキビは、皮脂が毛穴に詰まっている状態です。まだ初期の段階なので、ここでしっかりケアすることが大切です。

白ニキビを治療するためには、皮脂の詰まりを改善する必要があります。

〈毛穴の詰まりを改善する成分〉
・サリチル酸
・イオウ

サリチル酸は角質を柔らかくする働きと殺菌効果の両方をもつ成分です。。

イオウは角質を除去し、さらに殺菌効果や抗炎症作用ももちます。アクネ菌の繁殖を防ぐ殺菌成分で対処するのもよいでしょう。

〈殺菌成分〉
・イソプロピルメチルフェノール
・レゾルシン
・ベンゼトニウム塩化物
・エタノール

赤ニキビ・黄ニキビにお悩みの方

赤ニキビは白ニキビが悪化して炎症が起きたもの、黄ニキビはそれがさらに悪化して炎症が強くなったものです。

炎症が起きているので、抗炎症作用のある成分が向いています。

〈抗炎症作用のある成分〉
・グリチルリチン酸二カリウム
・アラントイン
・イブプロフェンピコノール

まりも
まりも
黄ニキビは、とても強く炎症が起こっている状態です。市販薬では症状の改善が難しいので、なるべく皮膚科を受診しましょう。

背中ニキビの市販薬をお探しの方

背中は手がなかなか届かずにお薬が塗りにくいですよね。そこでおすすめなのがスプレータイプのお薬です。シュっと一吹きするだけでお薬が広範囲に広がるので手が届かないところにもお薬をしっかり塗れます。

まりも
まりも
背中ニキビはアクネ菌だけでなく真菌の影響も関係しています。ニキビのお薬を塗ってもあまりよくならないとお悩みの方は、抗真菌剤と抗菌剤の入ったボディーソープを使うと改善しやすいですよ。
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治療と同時にニキビを目立たなくしたい方

赤くなったニキビを目立たないように隠したい方には、お薬に色がついたものがおすすめです。ニキビの治療をしながら目立たないように隠すことができます。

コンシーラーのようにお薬でニキビをカバーできるのは嬉しいですね。

今までにニキビのお薬で肌がガサガサになってしまった方

ニキビ用の市販薬を使ったらお肌がガサガサになってしまったという経験はありませんか?

肌がガサガサになってしまう原因はニキビのお薬に含まれているイオウが原因。イオウはニキビへの治療効果は高いのですが、どうしても肌が乾燥してしまいます。

ガサガサ肌にはなりたくない!という方はイオウが入っていないものを選びましょう。

ニキビ用の市販薬おすすめランキング10選!

数多くあるニキビ治療薬のなかで、とくに人気なものを10種類選びました。ドラッグストアで実際に多くの方が購入している市販薬ばかりです。

それぞれ入っている成分に違いがあるので、自分の症状に合ったものを選んでみてください。ライオン ペアアクネリキッド治療薬

〈配合成分〉

サリチル酸角質軟化、殺菌作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌作用
アラントイン抗炎症作用

〈特徴〉
ペアアクネリキッド治療薬液体のタイプのニキビ治療薬です。洗顔後、化粧水の前にニキビが気になるところに使います。

角質を柔らかくするサリチル酸と殺菌成分のイソプロピルメチルフェノール、抗炎症作用があるアラントインとバランスよく成分が配合されている市販薬です。

エスエス製薬 アンナザルベ・エース

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エスエス製薬
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〈配合成分〉

イオウ角質軟化、殺菌作用
レゾルシン殺菌作用
グリチルレチン酸抗炎症作用

〈特徴〉
近頃ジワジワと人気が上昇してきているアンナザルベ・エース。指名買いされる方が増えています。お値段が安いのに殺菌成分と抗炎症成分の両方が入っていることがポイントです。

イオウは角質を柔らかくして殺菌までしてくれる優れものですが、塗ったところが乾燥しやすくなるので、顔全体に塗らずにニキビのあるところにピンポイントで塗りましょう。

炎症を抑えるグリチルレチン酸も含まれているので赤みが強いニキビにも効果的です。

資生堂薬品 イハダ アクネキュアクリーム

〈配合成分〉

イブプロフェンピコノール抗炎症作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌作用

〈特徴〉
イハダのシリーズも少しずつ知名度が上がってきていますね。炎症を抑えるイブプロフェンピコノールと、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールを配合したお薬です。

油分も最小限に抑えられていおり、さっぱりとした塗り心地で肌に負担をかけません。ベタつかないのでお薬を塗った上からでもメイクがしやすいでしょう。

明治薬品 クレアラシル ニキビ治療薬クリーム肌色タイプ

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クレアラシル
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〈配合成分〉

イオウ角質軟化、殺菌作用
レゾルシン殺菌作用
グリチルリチン酸二カリウム抗炎症作用
トコフェロール酢酸エステル血行促進作用

〈特徴〉
お薬でニキビの治療をしながらニキビの赤みを隠したい方へおすすめです。コンシーラーを塗ったときのようにガッツリと隠してくれるわけではありませんが、少し目立たなくしてくれます。

殺菌成分、抗炎症成分に加え、血行を良くして代謝をよくするトコフェロール酢酸エステル分が配合されています。

ロート製薬 アクネス25 メディカルミスト

〈配合成分〉

イソプロピルメチルフェノール殺菌作用
アラントイン抗炎症作用
サリチル酸角質軟化、殺菌作用

〈特徴〉
ミストタイプのニキビ治療薬です。背中ニキビが気になる方は塗り薬よりもこのようなミストタイプの方が背中全体にお薬を塗りやすいでしょう。

サリチル酸が角質を柔らかくし、殺菌成分と抗炎症成分によってニキビの悪化を防いでくれます。さっぱりした使い心地なので、スプレーしてすぐ服を着てもベタベタ感が気になりません。

ゼリア新薬 アポスティークリーム

〈配合成分〉

イブプロフェンピコノール抗炎症作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌作用
ビタミンE酢酸エステル血行促進

〈特徴〉
抗炎症成分にと殺菌成分の両方が入っているので、ニキビの原因となるアクネ菌を殺菌しながら炎症も抑えてくれます。

小林製薬 セナキュア

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小林製薬
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〈配合成分〉

サリチル酸角質軟化、殺菌作用
エタノール殺菌作用
アラントイン抗炎症作用

〈特徴〉
セナキュアはスプレータイプのお薬です。アラントインが配合されているので、ニキビや吹き出物による赤みを抑え、皮膚を健康な状態へと導いていきます。

容器を逆さにしても噴射されるように工夫して設計されているため、背中でもストレスなくスプレーできるでしょう。

ライオン ペアアクネクリームW

〈配合成分〉

イブプロフェンピコノール抗炎症作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌作用

〈特徴〉
ペアアクネクリームはニキビ用の治療薬として、とても人気が高い商品です。抗炎症成分と殺菌成分というニキビ薬の王道ともええる処方になっています。塗り心地もサラっとしていてベタつきません。

ロート製薬 アクネス25 メディカルクリーム

〈配合成分〉

イブプロフェンピコノール抗炎症作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌作用

〈特徴〉
アクネス25 メディカルクリームも、抗炎症成分と殺菌成分を配合したニキビ薬です。

ペアアクネクリームと同じ成分が配合されていますが、濃度がそれぞれ異なります。

ペアアクネクリーム
・イブプロフェンピコノール 3.0%
イソプロピルメチルフェノール 0.3%

アクネス25 メディカルクリーム
・イブプロフェンピコノール 3.0%
イソプロピルメチルフェノール 1.0%

殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノールがペアアクネクリームには0.3%しか含まれていませんが、アクネス25 メディカルクリームには1.0%含まれています。

資生堂薬品 ピンプリットN

〈配合成分〉

イオウ角質軟化、殺菌作用
レゾルシン殺菌作用
酸化亜鉛患部を乾燥させる作用
グリチルレチン酸抗炎症作用

〈特徴〉
ピンプリットNは、肌色のクリームで、患部を目立たなくしながら、毛穴の詰まりを取って殺菌してくれます。

ほかのニキビ治療薬には入っていない酸化亜鉛が配合されていることが注目ポイントです。酸化亜鉛は患部のジュクジュクを吸い取って乾燥させてくれる役割を持っています。

ニキビが悪化してくると赤みを帯びて中に皮脂がたまったり、膿んだりすることがあるでしょう。そういったところにまで働いてジュクジュクを取り除いてくれます。

岡本
岡本

イオウが配合されているのでお肌がガサガサになりそう…と思う方もいるでしょう。ピンプリットNには、肌の乾燥を防ぐために湿潤剤として濃グリセリンが配合されています。そのため他のイオウ配合のニキビ治療薬よりも肌が乾燥しにくくなっていることが特徴です。

ピンプリットNと似ているものに「ピンプリット」という商品もあります。こちらはクリームの色が無色で、ジュクジュクに効く酸化亜鉛が配合されていません。

似ている商品ですが、効果が異なるので注意してください。

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ニキビにステロイドは使ってもいいの?

ニキビ治療のために、市販でステロイドの塗り薬を買われる方は少なくありません。フルコートやテラコートリルなどはとくに若い方から人気です。

しかし、一般にニキビ治療でステロイド剤が使われることはありません。日本皮膚科学会が発行している「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」にも「炎症性皮疹に,ステロイド外用を推奨しない」と記載されています

ニキビにステロイド剤を使うとしばらくはニキビが落ち着いたように見えることもありますが、時間が経ってからかえって悪化することもあるので使用はおすすめできません。

ステロイドがニキビを誘発させることもあるため注意してください。

岡本
岡本
ただし、ニキビと同時に湿疹も発症している場合はステロイドが使われることもあります。自己判断できるものではないので、市販のステロイド剤をニキビに使うのは控えましょう。

まとめ

ニキビ用の市販薬には多くの種類がありますが、入っている成分に着目すると自分に合うものを選びやすくなります。

どうしてもどれにするか決められないという方は、以下を参考にしてみてください。

〈背中ニキビを治したい方にはセナキュア〉

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〈肌を乾燥させずに優しく治療をしていきたい方にはアクネス25 メディカルクリーム〉

〈高い効果が期待できるニキビ治療薬が欲しい方にはピンプリットN〉

岡本
岡本
ニキビは市販薬でも治療できます。しかし、炎症が強い場合は市販薬だとなかなか対処できないことも。病院でしか処方されないお薬もあるので、長く続く場合は皮膚科を受診しましょう。

ABOUT ME
岡本
元大手ドラッグストアのOTC専門薬剤師。日本でトップレベルの売上げと来客数を誇る繁忙店で経験を積みました。市販薬の正しい知識について発信中。現在は「マリモドラッグ」を含め大手WEBメディアで医療記事を執筆しています。