市販薬・健康

市販薬の選び方は間違っている人が8割!その選び方では損しますよ

あなたは市販薬を買うとき、自分に合うものをしっかり選べている自信はありますか?

ドラッグストアで働いていて思ったのは、市販薬をちゃんと選べていない方が少なく見積もっても全体の8割くらいいるのでは?ということ。

ほとんどの方が自分に合う市販薬を選べていません。

このまま間違った選び方をしていては、お金のムダですし気になる症状もよくなりません。

ここでは元ドラッグストア勤務の薬剤師が、正しい市販薬の選び方をご紹介します。

実際にあった間違っている市販薬の選び方

私はドラッグストアで毎日のように、お客さまに市販薬を販売していました。1日に2000人近くも来るドラッグストアで働いていると、

「◯◯のお薬ください」

と毎日のように言われます。

このようにお薬を指名買いされる方の話をよく伺ってみると「いや、そのお薬では効かないよ」というパターンがとても多いのです。

ドラッグストアで働く日数が多くなるにつれ、驚くほど市販薬を間違った選び方で購入されることが多いことに気がつきました。

具体的に選び方がどう間違っているのか、実際のパターンをここでは3つご紹介します。

ケースその1. 大人の方の「パブロンください」

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風邪薬の中でもかなり人気のあるパブロンゴールドA。一度は飲んだことがあるという方も多いはず。

風邪がはやっている冬の季節に、40代くらいの男性の方がもう動くのもしんどいですと言わんばかりの顔をしてお薬を買いに来られました。

「パブロンください」

その男性は私にそう言うと「パブロンを飲んでいるんですけど、なかなか治らなくて。熱も高いし・・・なくなったので買いに来ました」とさらに言葉を付け足します。

この男性はすでに、2つの間違いを犯しています。何だかわかりますか?

答えは

  • 風邪薬を飲めば風邪が治ると思っている
  • 熱が高いのに解熱効果が低いお薬を買おうとしている

この2点です。

風邪薬で風邪は治せない

勘違いしている方がとても多いのですが、風邪薬を飲んでも風邪は治りません。風邪薬はあくまで対症療法として用いるもので、ただ風邪の症状を抑えているだけです。

もっと深くつっこめば、風邪を治す薬は世の中に存在していません。抗生物質を貰うことがあるかもしれませんが、それすらほぼ意味のないものです。

風邪の原因の8~9割はウイルスです。しかし抗生物質にウイルスをやっつける効果はありません。抗生物質は菌をやっつけるものなので、風邪のときに飲んでもほぼ意味がないのです。

熱が高いのに解熱効果の低い薬を選んでいる

パブロンゴールドAに配合されている解熱成分はアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは小さなこどもでも飲める成分で安全性がとても高いのが特徴。

しかし解熱効果はあまり強くないお薬です。熱が高くて困っている方が飲んでも思うような効果は実感できないことが多いでしょう。

とにかく熱を下げたいなら、イブプロフェンが入った風邪を選ぶのがベターです。イブプロフェンは15歳以上からしか使えない成分で、アセトアミノフェンより高い解熱効果をもっています。

ケースその2. 鼻水が止まらない方の「アレグラください」

花粉症の季節になるとお薬が欠かせませんよね。私は年中いろいろな花粉に反応してしまうので、かなりの頻度で花粉症の薬を飲んでいます。

これはスギ花粉が猛威をふるっている4月のできごとでした。

「アレグラください」

見るからに花粉でつらそうなお客様が来店され、私にそう言いました。

あまりに花粉症がつらそうだったので「もし症状がつらいようでしたらアレグラよりも効くものがありますよ」と伝えたところ、そのお客様は

「え!そうなんですか?アレグラが市販で一番効くと思っていました」と言われたのです。

もう少し話を聞いてみると、アレグラがバンバンCMで流されているのでその影響でアレグラが一番効くと思っていたそう。

CMをしていて認知度が高いお薬でも効果が高いとは限らない

今回、私がとくに声を大にして言いたいのは、CMに惑わされないで!ということ。

CMが何度も流されている市販薬は確かに印象に残ります。内容を見ていればこのお薬なら効きそうだと思ってしまうでしょう。

でもそうじゃないんです。気をつけてくださいね。CMはあくまでも「こんなお薬がありますよ~」と宣伝しているだけで「これが一番効きます!」と言っているわけじゃありません

CMは気にせずに、自分が買うべきものを見極めましょう。といってもお自分でお薬を選ぶのは簡単ではありませんので、遠慮せずに薬剤師や登録販売者に相談してください。

アレグラは使いやすいが効果はそこまで高くない

アレグラは眠気が出にくく、1日に2回飲むだけで済むことから多くの花粉症患者の方が使用しています。私もアレグラでないと眠気が出てしまうので、愛用しているうちの1人です。

花粉シーズンになると、どこのドラッグストアも一番目立つところにアレグラを置いていますし、実際に買われる方もたくさんいます。

それに加えCMの印象もあわさりアレグラは効果が高いと思われている方が多いのでしょう。しかしアレグラはそこまで効果が高いお薬ではありません

効果としては低い方です。だから花粉症がピークの時期にアレグラを飲んでもなかなか効かないと言われる方がけっこう多くいます。

本当に花粉症の症状に困っているのであればアレグラじゃなくて、クロルフェニラミンが入っているものの方が症状は楽になるでしょう。(ただし眠気は出やすいので注意)

ケースその3. 複数の鎮痛剤を持って「痛み止めください」

「ロキソニンって、パッケージ(表面)に歯痛って書いてないんで、これじゃなくて歯の痛みに効く鎮痛剤をください」

「(ピンクのパッケージの鎮痛剤を持って)これは生理痛しか効かないですよね?頭痛に効くものが欲しいんですけど」

みなさん、パッケージに騙されすぎです。確かにロキソニンの箱の表面には「頭痛・生理痛」としか書いていませんが、歯痛にももちろん効きます。

この成分は頭痛にしか効かない、生理痛にしか効かないなんてことはありません。これを勘違いしている方もとても多いです。

鎮痛剤は入っている成分で選ぶ

市販の鎮痛剤には

  • ロキソプロフェン
  • アセトアミノフェン
  • イブプロフェン
  • アセチルサリチル酸

などといくつかの種類があります。これは生理痛専用、これは頭痛専用といった成分は一切ありません。

鎮痛剤は使われている成分によって、痛み止めの効果が変わります。なので「◯◯に効く痛み止め」ではなく「どれくらい痛みが強いのか」によって選ぶのが正しい方法

体質によって効きやすい成分が異なるため一概には言えませんが鎮痛成分の効果は

ロキソプロフェン>イブプロフェン>アセチルサリチル酸>アセトアミノフェンです。

箱の色がピンクだからって生理痛専用ではない

たしかにピンク色の箱のものは生理痛の方をターゲットにしたものが多いです。だからといってピンク色の箱のお薬=生理痛専用ではありません。

特にロキソニンSプラスを生理痛専用のお薬だと勘違いされている方を多く見かけます。

「生理痛用にロキソニンSプラスを、頭痛用にロキソニンSを…」といって2種類買われる方がいますが、どちらか一方でいいですからね。

ロキソニンの違いについて勘違いされている方が多いため、以前このような記事を書いています。ロキソニンの違いが気になる方はこちらも読んでみてください。

解熱鎮痛薬「ロキソニン」の違いを比較!効果や成分を解説 市販でロキソニンが発売された当初は、ロキソニンSという青い箱に入った商品1つのみでした。しかし、現在はさらに種類が増え、ラインナップは...

 

市販薬をイメージだけで買うと失敗する

市販薬の情報って、薬に興味がある方や私のような薬剤師以外の方だとCMくらいでしか情報を入手できません。

でもCMの情報ってとっても偏っているんです。

「効いたよね、早めのパブロン」

なんて言葉を聞くと多くの方が「風邪をひいたら早めにパブロンを飲もう、そしたら早くよくなる」って思ってしまいます。

先ほども言いましたが風邪を飲んでも風邪は治りません。早めに飲んだって一緒です。

CMの情報を鵜呑みにしている方が多いのは仕方のないことかもしれません。もはや変なイメージを持たせる企業側に問題があると言っても間違いじゃありません。

CMがすべてじゃないんだよ、ということをこれを読んだみなさんはぜひ覚えておいてください。

まとめ

市販薬は種類がありすぎて、どれを選んだらいいのかわからない気持ち、よくわかります。薬剤師である私ですら「これとこれは何が違うんだ??」と思うことが多々あります。

そんな市販薬を一般の方が正しく選ぶのは難しいかもしれません。しかし先入観にとらわれずにしっかり成分を見る。これができれば誰でも市販薬は選べるようになります。

といってもどの成分がどんな働きを持っていて、どれくらい効果が強いのかなんて一般の方にはわかりませんよね。だからみなさんイメージで市販薬を買われてしまうのです。

本当に自分に合うお薬を見つけられれば、そのつらい症状ももっとよくなるかもしれません。ムダなお金を出さなくて済みます。

だからみなさん、市販薬をイメージだけで買うことはしないようにしてください。

どれを買ったらよいかわからないときは薬剤師や登録販売者に相談してくださいね。私達はみなさんからの質問を待っています。

ABOUT ME
岡本
元大手ドラッグストアのOTC専門薬剤師。日本でトップレベルの売上げと来客数を誇る繁忙店で経験を積みました。市販薬の正しい知識について発信中。現在は「マリモドラッグ」を含め大手WEBメディアで医療記事を執筆しています。