AGA・薄毛

AGA治療の種類は?原因や効果、クリニックの選び方も解説

「AGA治療にはどのようなものがあるの?」
「AGA治療の費用相場や治療期間が知りたい」

薄毛が気になってきた方がまず検索するのが、治療方法についてではないでしょうか。どうすればAGA(男性型脱毛症)が治るのか、どのような治療を行っていくのかが気になる方はとても多いと思います。

そこで今回は、AGAの基本的な治療方法について詳しく見ていきましょう。AGAの原因や自分が本当にAGAがなのか調べるセルフチェックの方法も紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

AGA(男性型脱毛症)とは?

AGAとは、思春期以降の男性で見られる脱毛症のことです。頭頂部や生え際から薄毛が進行していき、徐々に薄毛の範囲が広がっていきます。

驚くことに、日本人男性の約3人に1人はAGAです。発症率は年齢とともに上がり、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で約40%の方がAGAを発症しています。

参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

AGAの症状

AGAを発症すると、次のような症状が見られます。

  • 抜け毛が増える
  • 生え際や頭頂部のボリュームが少なくなってくる
  • 髪の毛が細くなる


お風呂に入ると指の間に髪の毛が多く挟まるようになったり、朝起きると枕に抜けた髪の毛がびっしりついていたりするのは、AGAでよく見られる症状です。

健康な方でも髪の毛は一日に50~100本ほど抜けていますが、AGAを発症している方だと200本以上も抜けるといわれています。

AGAの場合、抜ける場所は生え際(おでこ)や頭頂部、前頭部と限定的です。症状が進むと、生え際と頭頂部の薄毛がつながってしまうこともあります。

目立つ薄毛がなかったとしても、髪の毛が細くなっているようでしたら要注意です。細い毛が次第に増えてくると、薄毛が目立つようになってきます。

AGAになる原因

AGAの原因となるのは、男性ホルモンの一つであるジヒドロテストステロン(DHT)です。ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプター(アンドロゲン受容体)に結合すると、脱毛因子であるTGF-βやDKK1が産生されます。

この脱毛因子が毛母細胞の増殖を抑制するため、髪の毛が十分に育たなくなってしまうのです。毛母細胞とは、自身が細胞分裂をすることで髪の毛を作り出している細胞のこと。

うまく働かなくなると、毛周期(ヘアサイクル)のうち髪の毛が育っていく成長期の期間が短くなります。

毛周期とは

毛周期とは、髪の毛が生えたり抜けたりするサイクルのことです。成長期→退行期→休止期があり、これらのサイクルを繰り返すことで生えたり抜けたりします。

・成長期…髪の毛が長く太く成長する時期
・退行期…髪の毛の成長が止まる時期
・休止期…髪の毛の成長が止まり、抜け落ちていく時期

髪の毛が十分に育っていないうちに次の退行期や休止期へと毛周期が移行するため、細くて短い毛が増えて薄毛になっていくのです。

自分がAGAかどうかを調べる方法

「自分がAGAなのかわからない」「セルフチェックする方法が知りたい」という方もいるのではないでしょうか。

AGAかどうかを調べる方法はとても簡単です。まず、頭頂部と耳の穴をまっすぐ結んで線を作りましょう。この線より2cm前方に作った線より髪の毛の後退が進んでいる場合は、AGAの可能性が高いと考えられます。

AGAの主な治療方法

AGAの治療方法には、主に次の5種類があります。

  • 内服薬
  • 塗り薬
  • メソセラピー
  • HARG療法
  • 植毛

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

内服薬

内服薬には、3つの種類があります。

  • フィナステリド(プロペシア)
  • デュタステリド(ザガーロ)
  • ミノキシジル

フィナステリドとデュタステリドは、AGAの進行を食い止める「守りの薬」、ミノキシジルは発毛を促す「攻めの薬」です。

フィナステリド(プロペシア)

フィナステリドは、5αリダクターゼ(5α還元酵素)を阻害し、DHTの産生を阻害します。5αリダクターゼとは、テストステロンからDHTを作り出すために必要な酵素のことです。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があり、フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼを阻害する働きがあります。

デュタステリド(ザガーロ)

デュタステリドも、フィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害する飲み薬です。

フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼしか阻害できませんが、デュタステリドはⅠ型とⅡ型両方の5αリダクターゼを阻害できます。

そのため、フィナステリドよりもAGAの進行を食い止める力が高いことが特徴です。

ミノキシジル

ミノキシジルは、短くなった成長期の期間を正常に戻し、髪の毛が長く太く発育できる環境を整える飲み薬です。

正常な方の成長期の期間は、約2~6年ほどあるといわれています。しかし、AGAを発症している方では、成長期の期間が数カ月~1年程度にまで短くなってしまうのです。

ミノキシジルには短くなった成長期を元に戻す働きがあるため、発毛を促すことができます。この他、血管を拡張して血流を良くする効果も持っています。

塗り薬

塗り薬としてよく用いられているのが、ミノキシジルです。ミノキシジルには内服薬と塗り薬の2種類があり、塗り薬は市販薬でも購入できます。

塗り薬も飲み薬と同様に、短くなった成長期の期間を正常化し、発毛を促す効果を持つAGA治療薬です。

市販やネットでも購入しやすいため、ミノキシジルの塗り薬からAGA治療を始める方も少なくありません。

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メソセラピー

メソセラピーとは、髪の毛の成長に必要な栄養素や成長因子、薬剤などを頭皮に直接注入する治療法です。有効成分と頭皮へダイレクトに届けられるため、より効果的なアプローチができるといわれています。

飲み薬や塗り薬のように毎日使用する必要がないことがメリットです。2~4週間に1回の治療を6~16回(1クール)続けます。効果の出方によっては、クール数の追加が必要です。

どのような成分を使用するかは、クリニックによって異なるため、メソセラピーでの治療を考えている方は事前に成分を確認しておきましょう。

HARG療法

HARG(ハーグ)療法は、ヒト脂肪幹細胞培養上清液に含まれている成長因子を頭皮に直接注入する治療法です。継続的に治療を受けることで、発毛効果が期待できます。

治療に使用するのは、HARGカクテルと呼ばれる薬剤です。HARGカクテルは、配合される成分が決まっています。

そのため、どこのクリニックで治療を受けても同じ効果が期待できる点がメソセラピーとの大きな違いです。3~4週間に1回の頻度で施術を受け、これを6回続けます。

植毛

植毛は、自毛または人工毛をAGAが発症している部位に移植する治療法です。

大きく分けて自毛植毛術と人工毛植毛術の2種類があります。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」で推奨されているのは、自毛植毛術の方です。

人工毛植毛術は拒絶反応や感染症のリスクが高いため推奨されていません。移植した髪の毛がうまく生着すると、通常の髪の毛と同様に毛周期を繰り返します。そのため、AGAの根本改善が可能です。

AGA治療の費用相場

AGA治療の費用相場は、以下のとおりです。

フィナステリドデュタステリドミノキシジル(内服薬)ミノキシジル(外用薬)メソセラピーHARG療法植毛
3,000~7,000円/月8,000~13,000円/月8,000~13,000円/月3,000~8,000円/月50,000~100,000円/1回100,000~200,000円/1回1,000~2,500円/1グラフト

AGAの治療の効果が出るまでの期間

AGAの治療期間は、治療法によってやや異なります。

フィナステリドデュタステリドミノキシジル(内服薬)ミノキシジル(外用薬)メソセラピーHARG療法植毛
約3~6カ月約3~6カ月約3~6カ月約4カ月約3~6カ月約3~6カ月1年~1年半

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルの内服薬は通常6カ月ほどで効果を実感できるようになるといわれています。個人差があり、早い方では約3カ月で効果が出ることもあります。

ミノキシジルの外用薬は、約4カ月が目安です。植毛は施術をして1週間ほどで定着しますが、最終的な結果が得られるまでには1年から1年半ほどかかります。

AGAの治療をするにはどのクリニックを選べばいいの?

AGAは進行性の病気であるため、完治はできません。そのため、継続した治療が必要です。

生涯にわたり治療を続ける可能性もあるので、クリニックを選ぶときは「通いやすさ」「続けやすい価格」をしっかりとチェックしましょう。

治療を続けるには通いやすさが大切

通いやすいかどうかはとても重要な項目です。自宅や職場から遠いクリニックだと、通うのが少しずつ面倒になり、いずれ治療をやめてしまう方が少なくありません。

AGAは、治療をやめると再発し、再び薄毛が進行します。髪の毛が生えている状態を維持するためにも、通いやすい立地にあるクリニックを選びましょう。

続けやすい価格かどうかもチェック

AGA治療は数カ月、数年と続ける方がほとんどです。月々の治療費が高いと、経済的に厳しくなり治療を継続できなくなります。実際に、AGA治療を経済的理由でやめてしまう方が多くいます。

そのため、この先数年、続けられる価格であるかをチェックすることが重要です。クリニックによって価格が大きく違うので、しっかりと吟味しましょう。

オンライン診療を受けるのもおすすめ

近頃では、AGAの治療を受けられるオンライン診療サービスも増えてきました。オンライン診療とは、パソコンやスマートフォンなどを利用してネット上で診療を受けられるサービスのことです。

クリニックまで足を運ぶ必要がなく、また価格もリーズナブルであることが多いため、オンライン診療でAGA治療を行っている方も多くいます。

クリニックを受診する時間が取れない方、受診しているのを誰かに見られたくない方、費用を少しでも抑えたい方はオンライン診療の利用も検討してみましょう

AGA治療に関するよくある質問

最後に、AGA治療に関するよくある質問にお答えします。

早めに治療した方が良いといわれるのはなぜですか?

早めに治療した方が良いのは、治療が遅れると効果が十分に出ない可能性があるためです。毛母細胞には寿命があり、寿命を迎えた毛母細胞からは、治療を行っても髪の毛が生えてきません。

AGAを発症している方では毛母細胞の寿命が短くなっているため、早期治療が重要です。

髪の毛が生えたら治療を止めても大丈夫ですか?

いつ治療をやめるかは個人の自由です。しかし、治療をやめるとAGAが進行し、再び抜け毛や薄毛が気になるようになります。ふさふさの状態をキープしたい方は、AGA治療を継続して行う必要があります。

クリニックに通わず治療する方法はありますか?

クリニックに通わずAGA治療を行いたい方は、オンライン診療を活用すると良いでしょう。オンライン診療なら、クリニックまで足を運ぶことなく自宅や好きな場所から医師による診療を受けられます。

AGAは自力で治せますか?

AGAを自力で治すことはできません。進行性の病気のため、一度発症したら治療を始めない限り抜け毛や薄毛が悪化します。フサフサの状態に戻したい方は、AGA治療を始めましょう。

まとめ

AGAは、日本人男性の約3人に1人が発症している進行性の病気です。主な治療法には、次のものがあります。

  • 内服薬
  • 塗り薬
  • メソセラピー
  • HARG療法
  • 植毛


フィナステリドやデュタステリドの飲み薬と、ミノキシジルの外用薬などが治療には良く用いられています。AGAはきちんとした治療を受けなければ治ることはありません。

生活習慣を改善して抜け毛や薄毛を改善しようとする方もいますが、効果に乏しいのが実情です。

AGAの進行具合によって適切な治療法が変わるため、まずはクリニックを受診して医師に診てもらいましょう。

ABOUT ME
岡本
元大手ドラッグストアのOTC専門薬剤師。日本でトップレベルの売上げと来客数を誇る繁忙店で経験を積みました。市販薬の正しい知識について発信中。現在は「マリモドラッグ」を含め大手WEBメディアで医療記事を執筆しています。