私立の薬学部に通うとなると、学費が年間200万円×6年でトータル1,200万円くらいかかります。金額もそれなりなので、奨学金を借りて通われる方も多いですよね。私も奨学金を借りて通った薬学生の1人です。
借りている額が多い方はとくに「薬剤師になったとしても、奨学金を返しながら生活ができるの?」と気にしていると思います。
実際にこのような質問も質問箱からいただきました。
奨学金は薬学生の悩みのタネなんですよね。いくら年収があれば生活ができるのでしょうか。
ということで、ここでは1,000万円以上の奨学金を借りた私が奨学金を満額借りていても余裕のある生活ができる年収についてお話していきます。
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薬学生を襲う奨学金の罠
奨学金を借りずに6年間通い通せるお金に余裕のある家庭もあるでしょうが、私は裕福どころか貧乏な家でしたので借りられるだけ奨学金を借りて大学に通っていました。
学費のほぼ全額を奨学金で賄っていたため、私は大学を卒業したした時点で約1,200万円の借金を抱えてしまったのです。
ベンツのオープンカー、ミニクーパーやレクサスなどで大学に通う学生もいる中、私はバイトをいくつも掛け持ちし、試験前日の夜中まで働いているような生活を送っていました。学年で私が一番バイトしていた自信があります。
ここまでバイトをしていたのは私くらいですが、他にも奨学金を満額で借りている子は何人もいました。私がいた研究室のメンバー7人中4人は満額で借りているといった話をしていましたね。
なので私立の薬学部に通う=奨学金を借りるということ自体はそこまで珍しいことではありません。
ぶっちゃけ入学時は返済のことまで考えていない
これは私だけではないはずです。ほとんどの方が薬学部への合格が決まった時点で、奨学金の手続きも進めます。薬学部への合格が決まった瞬間って、思考回路が冷静じゃないんですよね。
受かったという喜びのあまり薬学部へ入学すること、通うことだけが頭の中を占めていて奨学金の返済のことなんて少しも考えちゃいないのです。
多額の奨学金を借りたのに薬剤師になれない可能性もある
奨学金を返済できるかという問題の前に、場合によっては薬剤師になれるのかという問題に直面してしまうこともあります。
「薬剤師国家試験の真の合格率」という言葉を聞いたことがないでしょうか。下の表を見てみてください。
参考: YAKU STUDY(薬スタディ)─薬剤師国家試験対策─
留年もせず一発で薬剤師国家試験に合格した割合を真の合格率と呼んでいます。青森大学の真の合格率は35.7%となっているので、100人入学しても、留年せずストレートで薬剤師になれるのは35人程度ということですね。
つまり奨学金を借りて薬学部に入ったものの、途中で挫折してしまったり国家試験に受からず薬剤師になれなかったりという可能性もあるわけです。
私が新卒で入った会社の同期には、大学は卒業したけど薬剤師国家試験に落ち続け一向に受からないため、薬学部卒の登録販売者として働いている方もいました。
奨学金返済のため就職先が限られる可能性も
大量に借りた奨学金を毎月返す必要があるため、私は病院や調剤薬局よりも年収の高いドラッグストアに就職しました。もともと調剤があまり得意ではないのもありますが、そこそこの年収がないと生活に響くと思ったのも大きいです。
ざっとした指標ですが、病院だと年収350~400、調剤薬局で年収400~450、ドラッグストアで年収480~600くらいの求人が多くありました。
病院で働きたいけど奨学金があるから…と、働きたい職場で働けない薬剤師も少なからずいるでしょう。
1,000万円以上借りた私の月々の返済額は…
めちゃくちゃ具体的な数字を出しますと、毎月45,853円返済しています。何があろうと毎月この金額が口座から引き落とされていきます。汗水たらして働いた給料から絶対に45,853円引かれていくのは、なかなか悲しいものです。
ときおり奨学金がなければ今頃どれだけ貯金があっただろうかと思ってしまうことがあります。それと同時に、奨学金を借りずに薬剤師になれた方を羨んでしまうことも正直ありますね。
あの人は貰った給料を全部使えていいなーって、どうしても思ってしまいます。
薬剤師なら奨学金を返しながらでも生活可能!給料明細を公開
結論から言ってしまいますと、毎月45,853円を返済しながらでも普通に生活できました。といっても、貰える給料によって生活の難易度は変わりますよね。
ということで、私の給料明細を公開します。
ドラッグストア薬剤師の給料明細
ちなみに私はドラッグストアに就職しました。もちろん給料が病院や調剤薬局と比べて高いからです。一般に年収が高いと言われるドラッグストア薬剤師の給料明細はこちら。
これはとある年のとある月の給料明細です。
支給額合計:369,109円
差引支給額:262,272円←実際の振込額
ちなみに控除額は以下の通り。
働き始めて知ったのですが、給料からバンバンあれこれ引かれるんですよね。私は毎月10万円くらい引かれていました。
ただし私の場合、この引かれる額には寮・社宅費 20,000円が含まれています。会社の社宅に住んでいたので、家賃と光熱費は20,000円で済んでいたのです。
奨学金がある身としては家賃と光熱費が20,000円で済むのはありがたかったです。
残業が多い月だと手取り30万を超える月もちらほらあったのと、ボーナスも貰えたのもあり年収は約550万円くらいでした。
ドラッグストアで4年働いて貯金は500万円
家賃・光熱費が安かったこと、関東で働いていたこと、車を持っていなかったこともあってか、普通に生活していて4年で貯金は500万円を突破しました。
つまり、奨学金を返していても年収550くらいあれば毎年100万ちょいは余る計算です。実はドラッグストアで働いている4年間で歯列矯正に100万円、脱毛に30万円くらい使い、ちょこちょこ旅行にも行っていました。
なのでとりわけ節約していたわけでもありません。
年収450万円くらいあれば生活できる
奨学金を満額で借りていると、いったいいくら年収があれば生活できるのかが気になりますよね。これは私の考えに過ぎないのですが、年収450万円くらいあれば生活に問題はないと思います。
これは単純に毎年100万円は貯金できていたので、年収から100万を引いた金額です。家賃と光熱費が安かったから貯金できたのもありますが、私のように歯列矯正や脱毛をしないと仮定すればおそらく450万円くらいでたりるでしょう。
奨学金を借りている方は、年収450万円を1つの目安にしてみてください。
奨学金で生活が苦しいと感じたら転職も視野に入れる
私のようにドラッグストアに就職する薬剤師は、実は多くありません。ほとんどの薬学生が病院か調剤薬局に就職します。
国試の勉強をしながら就活を進める必要があるため、就職した後の生活のことまであまり考えていない学生も多いのです。そのためか働き始めてから「生活がキツイ…」となってしまケースも多くあります。
奨学金を返済しながらの生活が苦しいと感じたら転職も視野に入れてみましょう。
最先端の医療現場で薬の知識を高めたい…そんな野望を持って病院に就職したものの、奨学金が生活を圧迫したためドラッグストアに転職した薬剤師を何人も知っています。転職した薬剤師はみんな口を揃えて「貰える給料が全然違う!」と飛び跳ねて喜んでいました。
奨学金を抱える薬剤師におすすめの働き方
必死に勉強して薬剤師になったのにカツカツの生活なんてしたくありませんよね。最後に、奨学金を返済しながらでも無理なく生活できるおすすめの働き方をご紹介します。
就職先をどこにしようか悩んでいる薬学生も、もっと余裕のある暮らしがしたい薬剤師の方もぜひ参考にしてみてください。
ドラッグストア薬剤師になる
これは私が実際にやった方法ですが、初任給から年収500万円オーバーを狙えるのはドラッグストアくらいです。
参考:薬キャリ 2021年2月時点
製薬企業も年収は高いものの入るのは簡単ではありません。
しかしドラッグストアは、よっぽどのことがない限り受けたら受かります。私が知っている限りで、ドラッグストアを受けて落ちたという方はいません。
手っ取り早く生活費を確保できるドラッグストアは非常におすすめです。調剤併設店を希望すればドラッグストアで働きながら調剤薬局のように調剤だけをすることもできますよ。
派遣薬剤師になる
薬学生の方はあまりご存知でないかもしれませんが、薬剤師には派遣という働き方もあります。実は派遣薬剤師、時給がめちゃくちゃ高いんです。
参考:薬キャリ 2021年2月時点
一般的な薬剤師の時給は2,000円ほどなのですが、派遣薬剤師の場合は3,000~5,000円ほどあります。倍くらい時給が違うのです。
私と同じように奨学金を1,000万円ほど借りていたものの派遣薬剤師として働きまくった結果、奨学金をたったの2年で返済したツワモノもいます。
最初の数年だけ派遣薬剤師として働いてお金を稼ぎ、資金に余裕ができたら働きたい職場に転職するという手もありですね。
年収が低くても病院で働きたい!とお悩みの方は少しだけ派遣薬剤師をやってみるのもおすすめです。
地方で働く
薬剤師の年収は、田舎ほど高くなります。高い年収を提示しないと人手が集まらないためです。私が今まで見た求人の中には新卒で年収700万円、住居つきという破格の年収を提示している調剤薬局もありました。
参考:薬キャリ 2021年2月時点
奨学金を返済しながらでも余裕を持って暮らしたい方は、地方の求人が狙い目です。
高収入の求人を探すなら転職サイトを使うべし
ドラッグストアや派遣薬剤師、地方の求人だと年収はたしかに高いです。しかしそう簡単に自分の希望に合う求人が見つかるの?と不安に思いませんか?
調剤をしたくてドラッグストアに就職したのにOTCに回されたり、なかなか時給のいい派遣薬剤師が見つからなかったりといったケースもあります。
そこでおすすめしたいのが薬剤師専門の転職サイトです。転職サイトですが、新卒で就職先を探されている方ももちろん利用できます。
すべてに対応できるのは薬キャリ
転職サイトによっては、派遣薬剤師の求人を扱っていないこともあるのですが、薬キャリは派遣も扱っていますしドラッグストアや地方の求人もあります。
薬キャリの特徴は以下の通りです。
- 転職を考えている薬剤師の約80%が利用している
- 自分の条件に合う求人を紹介してもらえる
- 担当コンサルタントが年収の交渉をしてくれる
- 即日で求人を紹介してくれる
薬キャリに登録すると、担当のコンサルタントがつきます。その方に自分が希望している求人の条件を伝えればあとはコンサルタントが求人を探して紹介してくれるのです。
条件に合うものを紹介してくれるので、年収や働き方もぴったりの求人が見つかりますよ。しかも求人にコンサルタントが交渉してくれるため、提示の年収より高く契約できることも決してまれではありません。
奨学金を返済しながらでも余裕のある生活をしたい方、奨学金のために働ける職場を限定されたくない方はぜひ薬キャリをご活用ください。
まとめ
多額の奨学金を抱えていると生活ができるのか、将来どうなるのか不安ですよね。目安としては年収450万円ほどあれば、私のように満額で奨学金を借りていても生活ができます。
年収350~400万円あたりだと正直きついです。しかし奨学金があるせいで働きたい職場で働けないのも非常に悔しい気持ちになります。
そのようなときは薬キャリを使って、奨学金を返しながらでも余裕のある生活ができる求人を探してみましょう。
手っ取り早く奨学金を返済したい方は、派遣薬剤師として働くのもおすすめですよ。