みなさんにとって親とはどのような存在ですか?
- いつでも自分の味方をしてくれる
- 困ったときは助けてくれる
きっとこのようなことを思っている方が多いと思います。
しかし私は親に対して一切このような感情は持っていません。親というのは「生まれながらに離れることを許されない人」という認識です。つまり私は親に対してよいイメージを持っていません。
親は刃物なのです。
「育ててくれた親は大事にしないとダメだよ」とよくいわれる言葉、絶対に守らないとダメなんでしょうか?
Contents
「勝手に生まれたくせに」と言われた子供

私は望まれて生まれた子供ではありません。できてしまった子供です。
面と向かって「勝手に生まれてきたくせに」と言われたこともあります。
だからなのか、元から親がそういう性格だったのかはわかりませんが、しばしば親は私のことを邪魔そうに扱っていました。
- 理由もなくリモコンでいきなり叩かれる
- 親のために作ったプレゼントを「いらない」と言われる
- ご飯を食べていたら突然コーヒーを頭にかけられる
- デブだと罵られる
- 髪の毛を結べば似合わないからやめろと言われる
- 服を買ってもらえない
- 学校で必要なものを買ってもらえない
- 一時期は両親に捨てられる
ざっと思いつくだけでもこれだけあります。小学生のころに一生懸命作ったプレゼントを「いらない」と言われて受け取ってもらえないのは悲しかったですね。
服なんてほとんど買ってもらえなかったので、学校から帰ったら体操着のハーフパンツによれよれのTシャツという姿で過ごしていました。
買ってもらえないから服がないのに、そんな私の姿を見て笑いながら「あの子はいつもあんな格好なんです。まともな服を着たらいいのに。」と近所の人に言って笑っていた母親。
当時、小学生だった私は無言でその場を去りました。
「そのお腹は何?子供でもいるんか?」とバカにされた私は、自分はとてつもなく太っているのだと勘違いし、気づけば学校の先生に「ちゃんとご飯食べてるんですか?」と家庭訪問で心配されるほど痩せこけていたものです。
中学生になったころ、家に帰ると母親はいませんでした。そのまま3~4年くらい家に帰ってこなかったと思います。県外で別の男と暮らしていたみたいです。
仕方ないので父親と暮らしていたのですが、「子供を俺に押し付けるな!」と家出した母親に向かって言っていた父親とうまく暮らせるはずがありません。
しばらくすると「出張が決まったから」といって、父親もどこかに行き、私は祖父母の家で暮らし始めます。
勝手に生まれてきた子供は、両親から捨てられても仕方がないのでしょう。
親から褒められないのは自分のせい

私は今の今まで親から褒められた記憶がほとんどありません。
自分に才能がないのだと思い、読書感想画では毎年のように賞状を貰い、作文コンテストでも町の広報に載るくらい自分なりに努力してみました。
親から褒められて育てられる友達とは違って私は不出来なんだ。
だから勉強も頑張って、教科によっては学年1位を取ることもありました。しかしそれでも親は私の手にある成績表や賞状を見て「ふーん」と言うだけ。テストの成績もさほど興味がない様子。
むしろ宿題で分からない問題があったときに親に聞いたら「なんでこんなのも分からないのか!」と怒られて、宿題プリントをぐしゃぐしゃにされたこともあります。
力いっぱい丸められてぐしゃぐしゃになったプリントを、破けないようにそっと広げた私の気持ちを親は知っているのでしょうか。
できるだけ家にいない選択を選んだ高校生

家にいれば何かと理由をつけて怒鳴られる毎日。
- テーブルが汚い
- あんたがいると家が汚れる
- 洗濯物を増やすな
とにかく私という存在が邪魔だったようで、よくわからない理由で怒鳴られ続けるため、私はできるだけ家にいないようにしました。
といってもお金なんてないので、休日はできるだけ友達と遊びに行く、予定がないときは図書館にこもるといったことくらいしかできません。
大学生になってからはアルバイトができるようになったので、ひたすらバイトをしていました。まあ、家賃光熱費以外の生活費をすべて自分で払っていたのでバイトしないと生きていけなかったと言った方が正しいかもしれません。
大学6年になると、国家試験も間近ということもあり勉強のために朝9時には家を出て、帰るのは夜の23時という生活を続けていたので親と何週間も顔を合わせないことも普通にありましたね。
家を出る決意をした大学6年生

親といてもストレスがたまるだけ、一緒に住んでいたもののほとんど顔を合わせないので一緒にいる意味もありません。
私が病気で数ヶ月寝込んでいたときも平気で1週間ほどどこかの男と一緒に旅行に行っていました。
お互いがお互いを必要としていないのです。だから私は社会人になるタイミングで家を出ようと決めました。
就職活動をしていたころ、親から「働き始めたら家にそれなりのお金を入れてくれるんだよね?」と言われたのを今でも覚えています。
なぜ今までこんな扱いをしてきたのに子供からお金を貰えると思ってるの?」と口から出そうになりましたが、ぐっと抑えて表情だけ固くしたまま無言でその場を去りました。
就職活動では運良く全国どこでも希望の都道府県で働けて、家賃1万円で生活できる企業に内定を貰ったのでトントン拍子で県外生活の計画は進んでいきます。
親にも一応県外に行くことは伝えたのですが、相変わらず「ふーん」で終わり。というわけでろくに顔を合わせないまま私は県外へと飛び立ったのです。
刃物から逃げ出せたのに、私はもう傷まみれだった

親と子は見えない絆で結ばれている。
一般的にこの言葉は良い意味で使われますが、私にとって絆はただのしがらみでしかありません。
血がつながっているからという理由だけで嫌いな人から一生逃げられない。
なぜこんな親の元に生まれてきたのだろう。
幸せそうに生きているあの子に、なぜ私はなれなかったのだろう。
私をズタズタに傷つけてきた親から離れたはずなのに、なんで私はこんなに傷ついているんだろう。
私はこんなに傷まみれなのに、なぜ親は平気な顔をしているんだろう。
どんなに親と離れても、生まれてからずっと刷り込まれてきた傷は、出来ては治り、出来ては治りを繰り返していつしか傷跡として残ってしまったのでしょう。
傷跡が残るくらいだから、きっと親は刃物なのです。
傷が生んだもの

親と一緒にいたくないなら、自分一人で生きていけるようになればいい。
親に何を頼んでも「知らん」「自分でやれ」とあしらわれてきたので、私は人に頼らずなんでも自分でする癖があります。
だからよく周りに
「しっかり者だね」
「偉いね」
「すごいね」
と言われるのですが、私からすればしっかり者になりたくてなったんじゃないし、一人で何でもしないといけないから偉いなんて言われてもピンと来ない。いや、それが普通でしょ?という感じ。
だから正直、周りからこういった言葉をかけられるたびにイライラします。ひねくれてますよね。
一番頼るべき存在であるはずの親から大切にされなかったので、親の愛情というものもわかりません。
親と子である以上、逃げられない
私は現在、母親とときどき顔を合わせることがあります。社会人になって私が家を出たらさびしくなったのか、まさに手のひらを返したように私への当たり方が変わりました。
母親はきっと自分の態度が変わったことに気づいていないでしょう。今も昔もよい母親であったと思っている気がします。
私ももういい年なので、普通の親子として母親と接しています。ご飯を一緒に食べることもあるし、頻繁にLINEのやりとりもしている。表面上はどこにでもいる親子。
昔は母親のことが大嫌いでしたが、今は別に嫌いではありません。もちろん好きとも思いません。
父親は今どこにいるのか分かりません。再婚して子供がいるということだけ分かっています。
ここまで話してきた「親」とは主に「母親」のことです。
これまで受けてきた母親からの扱いはきっと一生許すことはできないでしょう。許すべきことでもないと思います。
それでも親がいたから私はここまで生きてこられて、今もこうして毎日何かを考えながら生活しています。
でもこれから私はどうすればいいのでしょうか。
親だから老後の面倒を見ないといけません。
親だから頼まれたことがあれば実家に出向かないといけません。
これが親と子ではなく、他人と私であればとっくに縁を切っているでしょう。でもそれができないのです。
嫌いだったのに、好きじゃないのに、でも親だから。